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――三日目 「萌えぬなら、萌えさせてみせようホトトギス」 目の前でそうきっぱりと言い切るちびっ子、もとい、泉こなたを俺は呆然と眺めていた。 なんだろう。もうなんか頭がいっぱいいっぱいって感じ? 俺、ひょっとして告白されてんの? もし告白だとしたらえらく男前で色気のない告白だけど。告白ってそういうものなんだろうか? 「さあさ、着替えないと遅れちゃうよ?」 その言葉で、俺は我に返る。時計はもう結構危険な時間を指している。毛布をはねのけて起き上がると、シャツを脱――ごうとしたところで気付く。自分の部屋に女の子が存在していることに。 視線が合う。 何故か俺はじっと見られている。 「……着替えたいんだけど」 「残念」 泉さんはちっ、と小さく舌打ちする。 「目の前で着替えはじめられて、『きゃっ、えっちっ』っていうのもいいイベントかなって思ったのに」 そのイベント分かりづらいよ。ていうか時間ないし。 「んじゃあ、下で待ってるからねー」 そう言って彼女は手をひらひらと振ると、軽快な足音を残しながら階下へ降りていく。 俺はため息を一つ吐くと、どこまで本気なんだろうと考えながら制服に着替え始めた。 俺たちの通っている陵桜学園へは、駅から電車で四駅、そこからさらにバスに乗らなければいけないという、 微妙に不便な場所にある。こんな朝っぱらから泉さんが何故俺の家に来られたのかという疑問が湧いたので彼女 に尋ねて見ると、彼女の家と駅のちょうど中間地点に俺が引っ越してきた家があるということらしい。 そもそもなんで俺の家を知っていたかという疑問は残るが、あえて突っ込まないことにした。隣を歩く彼女は 同年代と比較してもかなり小さくて、俺の肩ほどしかない。落ち着いて考えてみると、女の子に朝起こされると いうものなかなか悪くないじゃないか。ちょっと性格的にアレかもしれないけど、可愛い子には違いない。 「そうそう、これはリサーチなんだけど」 「ん?」 「みのるくんの萌えポイントは?」 なにか今不思議な単語を聞いたような気がする。 萌えポイント? 「あー、うん、そうだね、こう、心の琴線に触れてキュンとなっちゃうようなシチュや仕草のこと」 なんだそれ。 俺が答えに困っているのを察したのか、泉さんはうんうん、と腕を組んで頷く。 「まだ早かったかな。ま、焦ることないよね」 何をだ。と問いかけてしまうのは藪を突いて虎を出してしまうようなものだと思ったので口には出さなかった。 そもそも、と俺は思う。彼女はどこまで本気なんだ。ちらりと盗み見た横顔はどこか楽しそうで、そして何かを企んでいるように笑っている。 駅に着いて、改札を通り、電車が入ってくるホームへ。俺たちがそこに立ったのとほぼ同時に、電車が軋むよ うなうなり声を上げて滑り込んでくる。ドアを開けた電車の中に、俺は彼女の後に付き従うように乗り込む。運 良く席は空いていて、俺と彼女は並んでシートに座った。 少しでも台詞を覚えないといけないのを思い出して、俺は鞄から台本を取り出して、開いた。 「お、練習熱心だね」 「そうでもないんだ」 昨夜はほんとうにざっと眺めるだけで終わってしまったので、台本を見ずに台詞を言える状態じゃない。 「泉さんは?」 「私は覚えてきたよ」 マジで? 聞き返した俺に、彼女は頷く。肩をくっつけるようにして俺の見ている台本を覗き込んでいる彼女の目の下に、 隈があることに俺は気付いた。昨夜は睡眠時間を削って暗記していたのだろう。 「かがみのこと考えると、もう後には引けないしね」 そう言って彼女は俺を見ずに、唇の両端を少しだけ持ち上げた。 昨日のあの瞬間の、自分の決意を俺は思い出す。雰囲気に流されていただけなのかもしれないと思ったけれど、 俺はもう引き受けてしまっている。なら、やらなければならないんだ。もう、後には引けない。 泉さんは俺の隣で、目を閉じて、今俺が開いているページの台詞を諳んじている。 まだ三日目で、彼女たちのことなんてなんにもわかってないけど、それでも彼女たちが俺にかけてくれる小さ な期待を裏切ってはいけないんだと思った。 裏切りたくない、と俺は思った。 教室に入って、俺は自分の待遇が昨日までとは一変していることを感じた。そりゃーもう感じた。嫌ってほど 感じた。泉さんと一緒に教室に入った俺を貫いていったのは、幾つもの同情を含んだ視線だった。何故かすれ違 い様に俺の肩をぽんと叩いて「がんばれよ」と声をかけていく奴までいた。 なんだこれ。 首を傾げながら自分の席に座ると、前の席に座っている男――確か谷口という名前だったような気がする―― がくるりと振り向いて、「よ」と軽く手を上げる。 おはよう、と声をかけると、谷口は苦笑いのような顔を俺に向けた。 「いやー噂になってんぜ?」 「何が?」 「オマエ、柊の代役で高良の劇の主役やるんだろ?」 「ん、まあ、そうなった」 「いやー、みんなめんどくさがってやりたがらなかったポジションだからな」 「そうなのか」 「そりゃそうだろ」 そうかもしれない。確かに普通に考えたらめんどくさくてやる気はしないだろう。劇って結構恥ずかしいし。 あ、やべ、なんか決意が揺らぎそう。 「ま、オマエの男気に敬礼、だな」 そう言うと谷口はわざとらしく俺に向かって右手を上げて敬礼の姿勢なんてとってくれる。それってなんて言 うか、猿回しの猿に対する敬意みたいなものじゃないかという気もする。 「そう思うなら手伝ってくれよ」 「なんだ、役は埋まってんだろ?」 「大道具とか、全然足りないな」 そっか、と谷口は少しの間だ視線を宙に放り投げる。 「まーオレも自分の部活でやるのの準備とかあるから、手が空くようなら顔出してやるよ」 「さんきゅー」 「いいってことよ」 おお、こいつはひょっとしたらイイ奴かもしれない。社交辞令でもそう言ってくれると少し気が楽になるよう な気がする。やっぱりそれぞれに仕事があるから、他のところに顔を出すのはそんなに簡単なことではないだろ う。 「揃ってるかー、出席とるでー」 そんな声と共に、担任の黒井先生が教室に入ってくる。谷口が体を前に向けたのを見て、俺は鞄の中から今日 の分の教科書を引っ張り出して、机の引き出しに押し込んだ。 昼休み。 この学校の学食というものに一度行ってみようと思っていた俺は、四時間目終了のチャイムと同時に席を立っ た。しかしながら、歩き出そうとした瞬間、誰かに腕をロックされる。 なんとなく誰かなんてことは予想できてしまったが、俺はロックされている自分の左腕を見る。そこにはやっ ぱり俺の予想通り、学年ちびっ子ナンバーワン、俺を攻略すると宣言かましてくれた泉さんがいる。 「さ、昼休みもれんしゅーだよ、れんしゅー」 「え」 「文化祭終わるまでは拘束させてもらうからね」 「え」 なんてことだ。助けを求めるように谷口を見ると、ご愁傷様、と俺に向かって手を合わせている。今日は学食 案内してやるって言ってたじゃないか。俺を裏切るのか。 「あきらめろ」 そんな無慈悲な谷口の言葉を貰って、俺は泉さんに引きずられていく。ちっさいのになんかパワー強い。ずる ずると引っ張られながら、俺は思う。 頼むから、そんな売られていく子牛を見るような視線で俺を見ないでくれ、クラスのみんな。 俺が彼女に連れ込まれたのは部室等の一室、『文芸部』と書かれた札が下がっている部屋だった。連れ込まれ た、と言ったが性的な意味は一切無い。あってたまるか。いや、あったらちょっと嬉しいかもしれないというの は否定できないような気がしなくもないというのは認めるのにやぶさかではないが。 俺を連れ込んだ張本人はというと、適当な椅子に俺を座らせると、机を引っ張って動かし、その上に手にして いた大きめの(と思うのは彼女が小さいせいで相対的に俺がそう感じるだけかもしれないが)鞄をどすんと、そ の机の上に置いた。 「泉さん、文芸部なんだ?」 「んにゃ、違うよ」 「だろうね」 そうだと思った。文化祭の準備で夕方のアニメを見られないと嘆いていた彼女がどこかの部活に所属している とは考えがたい。 「文芸部の子には昼休み使う許可貰ってるから」 そうなのか。それ以上俺に何と言えと。 彼女は鞄を空けると、その中から幾つかの箱を取り出して、机の上に並べている。何をしているのだろうとぼ ーっと眺めていたら、俺たちが入って来たドアが開き、新たな登場人物が二人現れる。 「こなちゃん早いよー」 「すごい勢いでしたね」 入ってきたのは、柊つかささんと、高良みゆきさんだった。どっちも文化祭の劇の関係者だ。 「おー、来たね」 いいながら、彼女が机の上に並べていたのが昼食だと今更ながら気付く。 でも、それにしてはやけに量が多いような。 「わ、こなちゃん、すごい……」 柊さんがびっくりしたような声を出して、適当に転がっていた椅子を持ってくると、机の周りに座る。彼女は 自分の分の弁当箱を机の上に広げた。高良さんも同じように自分の昼食を広げる。 いや、お昼食べるのはいいんだけど、俺、昼食持ってないし。 「さ、とりあえず食べよっか。打ち合わせは食べながらね」 泉さんはそう言って、俺の隣に自分も腰を下ろす。いや、どうしろと? 「みのるくんの分は、こ・れ☆」 語尾になにかキラキラしたものがくっついているような台詞を俺に向かって言う彼女。俺の前に置かれたのは どこにでもありそうな普通の弁当箱。彼女が焦らすようにゆっくりと蓋を取ると、そこにあったのはやっぱり普 通の、どこにでもあるような昼食だった。 これ? 俺の? 「箸もあるよ。あ、ここは『あーん』ってするべき?」 「いいいいや、自分で食べられるっ」 とっさに答えて彼女から箸を受け取る。 とはいえ、目の前の昼食、これ本当に俺の? 「ささ、食べて食べてー」 ずずいっと勧められる。なにこれ。ひょっとしてバツゲーム? ドッキリ? どっかから撮影されてる? 辺りを見回しても逃げ場はない。わー、柊さんも高良さんもすっげ生温い笑顔だ。もう逃げ場はない。それを 悟った俺は、目の前の泉さんが作ったとおぼしき昼食に箸を付ける。 「……あ、美味しい」 恐る恐る食べた一口目。非常に控えめに言っても、美味しかった。 泉さんは嬉しそうに笑って、ぱちんと指を鳴らす。 「お弁当はフラグの基本だよネ」 とても不穏当な単語が聞こえたような気がしたが、食欲の前には風の前の塵と同じだった。諸行無常。どんな 高尚な哲学も目の前のご飯には勝てないのだ。俺は目の前の昼食を片付けることに集中した。三人の笑顔が先ほ どよりもさらに生ぬるいものになっているような気がしたが、やっぱり美味しいご飯の前ではどうということは ない。 「……結構なお手前で」 「お粗末様でした」 礼儀正しく手を合わせると、泉さんも同じように手を合わせる。彼女が食べていた自分の分の昼食は、俺にく れたものよりも一回り小さい。タイミング良く目の前にお茶が差し出され、俺は何も考えずにそれを受け取る。 ああ、お茶が美味しい。 ……あれ? 「練習するんじゃなかったけ?」 少なくとも教室を連れ出されるときはそんなこと言ってたような。 「そうだっけ?」 泉さんは素知らぬ顔で食後のお茶を楽しんでいる。あれ、ひょっとして俺、いろんな意味ではめられた? 「いい食べっぷりだねー」 「そうですね」 柊さんと高良さんがうんうん、と頷いている。なんかこう、思わずまったりしてしまいそうな雰囲気だ。なん だ、流されればいいのか。流されてもいいのか。本当にいいのか。 「ねえつかさ、かがみは今日は休み?」 泉さんがそう言うと、柊さんは表情を曇らせる。昨日の怪我と、その後の痛がり方を思い出す。 「うん」 柊さんはまるで自分が怪我をしたような顔で言った。 「午前中お医者さん行って、午後から行けるかも。みたいなことは言ってた」 「そっか……」 気になることがある。昨日はあんな形で話がまとまってしまったけれど、俺が代役になったことを、彼女はど う思っているのだろう。あんまりいい感情を持たれていないんじゃないかという気がする。昨日少し練習を見た だけだけれど、彼女がとても真剣だったのは分かったから。 「柊さんのお姉さんはさ」俺は言った。「俺が代役になったこと、なんか言ってた?」 うーん、と柊さんは首を傾げる。 「お姉ちゃんね、みんなに申し訳ないって、私の前では言ってた」 でも。 柊さんは俯く。 「でも、後で私がお部屋にそっと様子を見に行ったとき、泣いてた」 そう言って、柊さんはまるで自分が泣いているような顔で、小さく息を吐いた。 そのまま、会話も弾まずに、昼休みは終わる。 連れだって一緒に教室に戻り、五時間目のチャイムが鳴ったところで、俺は泉さんにお弁当のお礼をまともに 言っていなかったことに気付いた。 「巡礼さま」その女性は言った。「あなたのご信心はあまりにもお行儀よく、お上品でございます。聖者にだっ て手はございますもの、巡礼がお触れになってもよろしゅうございます。でも、接吻はいけませんわ」 「聖者には唇がないのでしょうか、それに巡礼には?」ロミオは言った。 「いえ」娘は言った。「お祈りに使わなければならないのですから、唇はございます」 「それならば、私の愛する聖女さま」ロミオは言った。「私の祈りを聞き届けてください。でなければ、私は絶 望してしまいます」 はいそこで手の甲にキスをしてください。舞台監督高良さんの指示が細かい台詞や動作ごとにどんどん飛んで くる。右から左へそれを受け流すことができたらどんなに楽だろうかと思いながら、指示されたことをいちいち 台本に書き込んでいく。ついでに午後から学校に来て練習も見に来ているかがみさんからは台詞の読み方につい てのアドバイス。 泉さんは特にメモを取っている様子はない。けれど、一度指示されたことは次からはばっちりこなしている。 たぶん俺なんかとは比べものにならないCPUを搭載しているのだろう。そんな彼女はにやにや笑いながら俺に 左手を差し出している。これはアレか。キスしろということか。今日は本読みだけって最初に監督言ってたじゃん。 ほれほれ、と伸ばした手をひらひらとさせている彼女。 なんかいいように振り回されっぱなしな今日。自分の中にふつふつと沸き上がるものがあるのを感じる。少し ぐらいやり返したっていいじゃないか。そうだ、振り回されっぱなしヨクナイ。 「お手を拝借」俺は彼女の手を取って、彼女の前に跪く。「私の愛する聖女さま」 初めて触れた彼女の手は思っていたよりもずっと小さく、唇が触れた手の甲はひんやりとしていた。 やばい。 勢いでやっちゃったのはいいけど、顔が上げられない。俺は今たぶん、とても軽率で恥ずかしいことをした。 彼女の手を取ったまま動けずにいる。く、とその小さな手に力が込められたような気がした瞬間、高良さんから 次のシーンへ行ってください、と指示が飛んだ。その声が、硬直していた俺の体を動かした。 手が離れた後で見えた泉さんの表情は普段と変わらないもので、そのことに俺は安堵する。 いったい何に安堵したのかわからないまま、練習は続く。 「おつかれさまでしたー!」 俺にとっての一日目終了。残る日は六日間。高良監督から明日までにできるようにしてきて欲しいことリスト を受け取って、後片付けに入る。関係者全員で体育館の掃除をして、戸締まりをして、電気を落とす。 全部が終わって、さあ帰ろう、としたところで、ぱしんと俺の背中を誰かが叩いた。そのまま俺の隣に並んだ のは、泉さん。 「おつかれ」 「おつかれさま」 「いやー疲れた。慣れないことは疲れるネ」 うーん、と彼女はひとつのびをする。その様子に、なんだ意識してたのは俺だけか、と小さく肩を竦める。 ま、こんなもんだろう。 「いやーホントにキスしてくれるとは思わなかったよ」 「そっちが要求したんじゃないか」 まあそうだけどね。彼女は笑う。 「泉さんは」 言いかけた俺の口に、彼女は人差し指を突きつける。驚いて俺が動きも言葉も止めると、「ちっちっち」と自 分で言いながらその指を左右に揺らす。 「こなた」 「え?」 「こ・な・た」 なんだこの展開。つまり名前で呼べと、そういうことか。 「こ、こなた?」 「も一回」 「こなた」 「うん」頷いて、彼女は笑う。今日一番の笑顔。「あしたもがんばろうね、みのる」 ――つづく?(「こなたルート・ふもっふ!」へ) コメントフォーム 名前 コメント
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空が、真っ白になっていた。 今日の空はなんか不思議で。 秋なのに雪が降る直前みたいで。 私柊かがみは委員会の会議で、いつもより帰りが遅くなった。いつもは早く終わってほしいけど、今日ばっかりは気にならない。 「みゆき、帰ろ?」 B組委員長で親友のみゆきは、委員長の会議で同じ時間に終わったみたい。計画通りね。 「はい。ご一緒に。」 なんか寒い。まだまだ秋と思っても、10月はやっぱり冬に近くて。 「ねえ、みゆき…相談、してもいい?」 みゆきに相談したくて、帰りは2人だけになれる委員会の帰りを狙った。 最近私の心は、曇りぎみで。みんなと一緒にいるときは、悟らせないようにしてる。 でも、もう黙ってるのは辛くって。誰かに相談しよう、そう思って… 「私でよければ…お役にたてるかわかりませんが」 答えるみゆき。 「みゆきやつかさにしか相談できないのよ…」 実は、私、柊かがみは、泉こなたに、恋をした。 きっかけなんて、とうに忘れた。 気づけばもう、大好きで。 いつも、アイツを目で追っていて。 いつも、ずっと、話してたくて… でも、私は女だ。女が女に恋をする、そんなの絶対間違えてる。 だから自分は間違った子なんだ、そう思うようになっていった。 でも、この気持ちは間違いなんかじゃないのは事実で。 好きで、好きで、心が裂けそうだよ。 ねえ、こなた?あなたは私を受け入れてくれる? 間違ってるかもしれない、こんな私を受け入れてくれるの? いっつも私を嫁呼ばわりするけど、本当に嫁にしてくれるの? ねえ、こなた。答えてよ… 「あのね、みゆき…恋、しちゃったんだ…」 みゆきは少し驚いて、そしてにっこりと笑って、 「そうだったんですか…素晴らしいことですね」と、言った。 相談、しなくちゃ。 「そんでね、その相手がね…お、女の…」 みゆきは驚いたみたい。そりゃ、そうよね。 「そ、そうなんですか…」 「でね…聞きたいんだけど…私を、どう思う?女に恋した私を…やっぱり、間違ってるかな…?」 みゆきは真面目な顔になった。ちょっとだけ怖い。 「間違いなんかじゃありません。異性だろうと同性だろうと、“好き”の本質は変わらないと思います…」 …嬉しかった。 間違いじゃない、そう言ってもらえて。 涙が、溢れ出した。 「あのね、私…すっごく、悩んで…好きで、好きで、でも、間違ってるって考えると、くるしくって…」 何言ってるか、わからなかった。 けど、安心できた。 否定されなくて、わかった。 1人だから、心細くて、間違いにしようとしてたんだ。 「涙を流すまで好きになって、それが間違いなはずないですよ」 優しくささやく。 みゆき。本当に、ありがとう。 落ち着いた。目が赤いだろうな。こなたにウサギ呼ばわりされそうだ。 「でね…相手はね…」 「泉さん、ですよね?」 !!なんで!?ばれてる!? 隠してたはずなのに… 「な、な、なんで…」 「最初に『つかさやみゆきにしか』とおっしゃってたので…そうかな、と」 流石みゆき。頭がいいわね。 こなたを好きと知られて、無性に恥ずかしくなってきた。やだ、熱い。やだ、こなたのことで頭が一杯に…お、落ち着け私!! 「だ、大丈夫ですか?」 「はっ…ご、ごめん」 たぶん顔真っ赤。恥ずかしい。今更だけど。 「つかささんには相談されたんですか?」 「うん、まぁね…難しくてわからない、だってさ」 みゆきはあたたかな微笑みを浮かべた。 「つかささんらしいですね」 「でもね」 つかさに相談して、自分は。 「間違いかはわからないけど、私の味方だっていってくれたのよ」 1人じゃないって、わかったんだよ…。 つかさと家族で、ほんとによかった。 みゆきは言った。 「かがみさんは、1人なんかじゃないですよ。みんな、かがみさんの味方です」 空から雲がなくなっていた。いつの間にか、オレンジの日が西の空に顔をだしていた。 肌寒さは消えていた。なんだか、あったかかった。 夕日の下、みゆきと別れて1人になった。 自信がついた。 今なら、言える…そんな気がした。 足の向く先は、こなたの家。 携帯を取り出す。勿論相手は… 「はろ~、かがみん」 愛するこなた。 「どしたの?なんかあったの~?」 「いや、何もないけど…今、会いに行くわよ。」 「はぃ?かがみ、何言って…」 「家の前で、待っててくれるかな…あのね、話したいことがあるんだ…」 fin コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(^_-)b -- 名無しさん (2023-05-17 17 07 47) みゆきとつかさが優しい。優しいというのは、とても温かいことだなあ。 -- 名無しさん (2009-12-26 09 33 43) よし、続きを書くんだ!告白して付き合っちゃえ! -- 名無しさん (2008-10-15 23 37 20)
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00~50 時列順に見たい人はコチラ 00はオープニングです NO. タイトル 作者 登場人物 00 本日は──動画にごアクセス頂き ◆mOSbCFXXGI マルク、ピエモン、キョン、海馬瀬人、海馬モクバ、双海真美 01 チンパンジー保護作戦 ◆0RbUzIT0To 永井浩二、ティアナ=ランスター、TAS 02 風に尋ねられて立ち止まる ◆OZbjG1JuJM 前原圭一、ピカチュウ 03 崖っぷち ◆0RbUzIT0To 天海春香、白石みのる 04 俺の作った改造バトロワを友人にプレイさせてみた ◆qwglOGQwIk 友人、八意永琳、インセクター羽蛾、ニート 05 いわゆる一つの裏技 ◆0RbUzIT0To KAS、高槻やよい、永井けいこ 06 阿部高和はキョン君の大切なものを盗んでいきました ◆qwglOGQwIk 阿部高和、キョン、谷口 07 ニートロールムスカ添え ◆LMjDxvHLHo ニート、ロール、ムスカ 08 私の救世主様 ◆qwglOGQwIk いさじ、柊つかさ、園崎詩音 09 東方夢殺竜 ◆OZbjG1JuJM 博麗霊夢、ヨッシー 10 あくのはどう ◆OZbjG1JuJM フシギダネ、道下正樹 11 黒い帽子はうさんくさい証拠 ◆qwglOGQwIk 矢部野彦麿、アリス・マーガロイド 12 うさみみ少女と魔法少女 ◆aR.LrJ7HMw 鈴仙・優曇華院・イナバ、高町なのは 13 戦士、再び ◆wC9C3Zbq2k スパイダーマン、ロックマン 14 オタクとアイドルの奇妙な遭遇 空気男が倒せない ◆BRxsUzTn5A 菊地真、泉こなた、エアーマン 15 ぶれ☆いぶ ◆OZbjG1JuJM 柊かがみ、ゴマモン 16 チハヤム、大地に……立てない ◆0RbUzIT0To 如月千早、サトシ 17 削除下克上 ◆CUG3z3uZ1o ドラえもん、日吉若、削除番長 18 クレフェアリーの憂鬱 ◆OZbjG1JuJM ピッピ、朝倉涼子 19 歌、覚えていますか 福山芳樹 20 ぺったんぺったんつるぺったん ~五十歩百歩~ ◆qwglOGQwIk 暗黒長門、伊吹萃香 21 クロックタワー ◆tGnurJkvOw キョンの妹、小笠原祥子 22 島根起動 ◆iZaN.t/1n. オメガモン 23 富竹は大変なハルヒを覗いていきました ◆OZbjG1JuJM 涼宮ハルヒ、ワドルドゥ、富竹ジロウ 24 彼女にだって乙女は必要です ◆qwglOGQwIk カービィ、園崎魅音 25 ニコニコ最強の国技SUMOU ◆XuryVJUQ9Y YOKODUNA 26 弾幕少女リリカルれいむ ◆lbhhgwAtQE 博麗霊夢、ヨッシー 27 そこらじゅうでハデにやったる ◆Dx4H1/XR2o イチロー、お覇王 28 ガチホモレスリング ~下半身に罪は無いッ!~ ◆qwglOGQwIk 越前リョーマ、古泉一樹 29 ひろくんの天使?転生 ◆0RbUzIT0To 永井博之、水銀燈 30 ナイトメア ◆qwglOGQwIk 如月千早、サトシ、ピッピ 31 モクバ死す 海馬の涙 ◆BRxsUzTn5A 海馬瀬人 32 運が良いのは彼女なのか? ◆OZbjG1JuJM フシギダネ、TASさん、霧雨魔理沙 33 外山恒一のなく頃に 友人悲惨編 ◆0RbUzIT0To 外山恒一、竜宮レナ、友人 34 Distinction ◆qwglOGQwIk 涼宮ハルヒ、ワドルドゥ、富竹ジロウ、ムスカ 35 ニアミス・ハピネス ◆wC9C3Zbq2k YOKOZUNA、天海春香 36 海☆馬☆王 ◆2kGkudiwr6 海馬瀬人、園崎詩音 37 湖畔協奏曲第一幕 “名もなき王と歌姫” ◆BRxsUzTn5A 武藤遊戯、琴姫 38 不完全自殺マニュアル―思い出をありがとう― ◆0RbUzIT0To 双海亜美、オメガモン、暗黒長門 39 ぽよまよ ~口先の魔術師~ ◆OZbjG1JuJM 阿部高和、谷口、園崎魅音、カービィ 40 カイバーマン、夜を往く ◆0RbUzIT0To 菊地真、泉こなた、海馬瀬人、ピッピ 41 楽太郎(ラピュタ王)の陰謀 ◆2VgTRcP6n6 ムスカ、柊かがみ、ゴマモン 42 落ち着け前原K! ◆lbhhgwAtQE 前原圭一、ピカチュウ、エアーマン 43 英雄 ◆Dx4H1/XR2o ストーム1(おじいちゃん)、福山芳樹、いさじ、柊つかさ 44 浩二君です ◆qRv35OWHJE 永井浩二、ティアナ=ランスター 45 ぴこまろ不思議のダンジョン 闇の探検隊 ◆OZbjG1JuJM 矢部野彦麿、アリス・マーガトロイド、朝倉涼子
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part13-969 こなた「そだね~。店が遠いよ」 キョン「ああ。路上で練習してた時は運転で頭がいっぱいだからまったく気付かなかった」 こなた「ん~、じゃあ今も運転で頭がいっぱいかい?」 キョン「さすがに今は周りを見る余裕も出てきたさ」 こなた「私のことはこれっぽっちもないのかい?」 キョン「何言ってんだお前は」 こなた「キョンキョンはなってないなぁ」 キョン「お前に言われたくはないがな」 そんなやりとりをしていると赤信号になり車を止める。 こなた「おやキョンキョン、寝癖ついてるよ」 キョン「え、マジか」 ミラーを見るが後ろすぎるのか見えない。 こなた「私が直してあげるよ。こっちきて」 キョン「頼む」 子供「ママー、あの人たち車の中でチューしてるー」 母親「しっ、見ちゃいけません」 子供「チューチュー」 母親「ほ、ほら行くわよ」 キョン「…………」 こなた「…………」 キョン「…………」 こなた「……ホントにしてみよっか?」 そんな一日だった。
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作者:犬タイ猫 使用ツール:RPGツクール2000 シリーズ総数:(現在)第17回 シリーズリスト遊戯王RPG~空気の反乱~ http //www.nicovideo.jp/mylist/7819258]] ストーリー 遊戯がこなたとのデュエルに勝利し、三幻神のカードを見せにいこうとするが、 12次元の宇宙を超融合によって破壊しそこに生まれる新世界の神として目立とうとする三沢大地率いるSOS団の一員、本田ヒロトに三幻神のカードを盗まれてしまった。 果たして、遊戯はSOS団の野望を打ち砕くことができるのか? 概要 遊戯王のRPGだが、らき☆すたやローゼンといったニコニコで大人気のキャラ達が登場しており、内容はカオス。 主人公は遊戯だが、ヒロインはらき☆すたの泉こなたとなっている。 もちろん、GXや5D sのキャラ達も参戦している。 登場人物 +ネタバレ注意 パーティーメンバー 闇遊戯 海馬瀬人 闇マリク 泉こなた 柊かがみ 柊つかさ 遊城十代 エド・フェニックス キモイルカ SOS団 三沢大地 本田ヒロト 桂言葉 水銀橙 ヘルカイザー 阿久津 HA☆GA 斎王琢磨 その他 闇AIBO Gちゃん 城之内 モクバ ユベル ジャック・アトラス 磯野 氷室 矢薙 日下部みさお あやの 小神あきら 白石みのる ハマーD ヤムチャ
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キャラクター別SS追跡表 桂言葉 No. タイトル 作者 登場人物 004 愛しい人のために ◆KuKioJYHKM 素晴らしきフラグビルド、桂言葉 029 空を見上げる少女達の瞳に映る世界 ◆nkOrxPVn9c 地球破壊爆弾No.V-7、泉こなた、6/氏、桂言葉 044 ぶっちぎりバトルヴァンパイアーズ ◆DiyZPZG5M6 地球破壊爆弾No.V-7、泉こなた、6/氏、桂言葉 056 狂人にも五分の理(ことわり) ◆G/G2J7hV9Y 桂言葉 079 バトルロワイヤルは鬼ばかり ◆OGtDqHizUM 桂言葉、真・長門有希、南千秋、赤木しげる(13歳)、武藤遊戯、ロアルド・アムンゼン(その3) 085 大都会交響楽大都会交響楽(中編)大都会交響楽(後編) ◆BOMB.pP2l. 地球破壊爆弾No.V-7、泉こなた、6/氏結城奈緒、忘却のウッカリデス、遊城十代阿部高和、ラッド・ルッソ、桂言葉、真・長門有希 キョン No. タイトル 作者 登場人物 019 ど う す れ ば い い ん だ ◆IAfXeP1LXM 小早川ゆたか、キョン、ルイズ 035 変種第二号 ◆BOMB.pP2l. 黒井ななこ、キョン、小早川ゆたか、クールなロリスキー でっていう No. タイトル 作者 登場人物 003 合成獣(キメラ)が哭く夜 ◆B00Kx53zOs アルフォンス・エルリック、でっていう 036 パラレルワールドって怖くね? ◆OGtDqHizUM スバル・ナカジマ、アルフォンス・エルリック、シグナム、アナゴ、でっていう 057 Double-Action Rascal formDouble-Action Rascal form(後編) ◆nkOrxPVn9c スバル・ナカジマ、アルフォンス・エルリック、シグナム、アナゴ、でっていう 072 いいぞがんばれ!ドラゴンズ! 燃えよドラゴンズ!! ◆jVERyrq1dU 竜、でっていう 093 我がAA軍は永遠に不滅です我がAA軍は永遠に不滅です (後編) ◆LcLEW3UbhI 小早川ゆたか、でっていう 前原圭一 No. タイトル 作者 登場人物 013 CHAOS;ROYAL ◆h6KpN01cDg 6/氏、阿部高和、桂ヒナギク、前原圭一 038 変態に縁のある女変態に縁のある女(後編) ◆jVERyrq1dU 桂ヒナギク、阿部高和、前原圭一(やる夫) 055 K-パックス ◆BOMB.pP2l. 柊かがみ、高町なのは、前原圭一(やる夫) 096 悲しみは絶望じゃなくて明日のマニフェスト ◆EKhCqq9jsg 柊かがみ、高町なのは、前原圭一(やる夫) 099 涙の誓い(前編)涙の誓い(後編) ◆DiyZPZG5M6 小早川ゆたか、6/氏、泉こなた、柊かがみ、高町なのは(StS)、前原圭一 やる夫 No. タイトル 作者 登場人物 008 やる夫は神(笑)相手に一歩も引かないようです ◆jVERyrq1dU 涼宮ハルヒ、やる夫 061 神は神と出会い、神の武器を持つ ◆KX.Hw4puWg 涼宮ハルヒ、やる夫、6/氏(神) 070 1984年 ◆BOMB.pP2l. 6/氏(神)、やる夫、ジョセフ・ジョースター 078 もうどうにでもな~れもうどうにでもな~れ(後篇) ◆jVERyrq1dU 涼宮ハルヒ、やる夫、ジョセフ・ジョースター 088 HAL・スクリーミング・ショウHAL・スクリーミング・ショウ(後編) ◆DiyZPZG5M6 やる夫、涼宮ハルヒ、園崎魅音、6/氏(外見かがみ)、柊つかさ ルイズ No. タイトル 作者 登場人物 019 ど う す れ ば い い ん だ ◆IAfXeP1LXM 小早川ゆたか、キョン、ルイズ
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集計範囲内の順位 順位 名前 回数 1 タケシ 57 2 ◆6/WWxs9O1s 36 3 門倉雄大 30 4 キョン子 27 5 ギャバン 24 6 ユーゼス・ゴッツォ 23 6 柊かがみ@カオスロワ 23 8 赤木しげる@カオスロワ 18 8 キョン@kskロワ 18 10 渚カヲル 17 11 マリオ 16 12 泉こなた 15 13 キョン@アニロワ 14 13 柊かがみ@ニコロワ 14 13 赤木しげる@漫画ロワ 13 16 涼宮ハルヒ@ニコロワ 13 16 柊かがみ@漫画ロワ 13 18 ルイージ 12 18 桂ヒナギク 12 20 キョン@ニコロワ 11 通算順位 順位 名前 順位変動 回数 1 ◆6/WWxs9O1s → 260 2 柊かがみ@カオスロワ → 182 3 柊かがみ@ニコロワ → 110 4 マリオ → 108 5 泉こなた → 102 6 ユーゼス・ゴッツォ → 99 7 ギャバン → 98 7 タケシ ↑ 98 9 ルイージ ↓ 74 10 柊かがみ@漫画ロワ ↓ 73 11 南光太郎 ↓ 66 12 柊かがみ@出典不明 ↓ 62 13 高良みゆき → 61 14 先生@ドラえもん ↓ 59 15 涼宮ハルヒ@ニコロワ ↑ 53 16 高町なのは@出典不明 ↓ 51 17 ザフィーラ ↓ 49 18 阿部高和 ↑ 47 19 柊かがみ@アニロワ2nd ↓ 44 20 キョン@アニロワ ↑ 42 21 門倉雄大 ↑ 39 21 キョン子 ↑ 39 21 ゾフィー → 39 24 シマリス ↓ 38 25 赤木しげる@漫画ロワ ↑ 36 25 キョン@ニコロワ ↑ 36 25 ハクオロ ↓ 36 28 赤木しげる@カオスロワ ↑ 35 28 キョン@kskロワ ↑ 35 28 渚カヲル ↑ 35 31 赤木しげる@出典不明 ↑ 32 31 白鐘沙羅 ↓ 32 33 赤ヨッシー ↓ 31 34 桂ヒナギク ↑ 30 34 蟹座氏 ↓ 30 34 ヨッシー@出典不明 ↓ 30 37 キョン ↑ 29 37 城茂 ↓ 29 37 マルク ↓ 29 37 八雲紫 ↑ 29 41 ピエモンB ↑ 28 42 アーカード ↓ 27 42 地球破壊爆弾No.V-7 ↓ 27 44 岩崎みなみ ↓ 26 45 滝和也 ↑ 25 46 KuKio ↓ 24 46 アライグマ ↓ 24 46 遠坂凛 ↑ 24 46 博麗霊夢 ↑ 24 46 三村信史 ↑ 24 同一人物統一時の順位 順位 名前 順位変動 回数 1 柊かがみ → 491 2 ◆6/WWxs9O1s → 287 3 キョン → 223 4 赤木しげる ↑ 153 5 泉こなた ↓ 120 6 マリオ ↓ 110 6 タケシ → 110 8 涼宮ハルヒ ↑ 101 9 高町なのは ↓ 100 10 ユーゼス・ゴッツォ ↓ 99
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……何を、言っているの。 「もう……遅いのよ」 この手には今でも感触が残っている。 「そんなことないよ」 目の前にいる少女を刺した感触が。 「……手遅れなのっ……!」 それは確かな、罪の証だ。 「―――手遅れなんてこと、ないよ」 ―――なのに、なんでこいつは。 「……っ。 あんたは、自分が何を言ってるのか、解ってるの……! 何で、何でそんな……!」 「―――そりゃあ、さっきも言ったじゃん。 かがみんは、私の友達だからだよ」 「―――っ」 ……ああ、そうだ。 こなたはいつもそうだったじゃないか。 つかさを通して知り合った、今最も近しい友達。 いつもいつも、こいつは私をからかってきて。 ツンデレだー、とか。かがみーん、だとか。訳の解らないことばっかり言って。 ……でも、不思議と嫌いにはならなかった。 なんだかんだでいつも楽しい。 いつもいつもバカ言って。 いつもいつも笑ってる。 ―――心地よかった。私の居場所。 男に言わせればそう、『繋がり』と言うだろう。 ……そして私は、男との『繋がり』を創るために、こなたやつかさとの『繋がり』を断ち切ろうとした。 それなのに。 私は、そんなことをしたのに。 こなたは私をまだ、『友達』と呼ぶ。 ……ああ、そうだ。 私はこいつがこんな奴だから、殺しきれなかったんだ。 全力でなんて、殺せるはずがない。 ―――なんて、中途半端なんだろ、私は。 『友達』として、『姉』として、男とつかさの仲を応援しようとした。 ……でも、やがて私の気持ちは私の胸を激しく突いてきていて。 一人の『女』として、我慢が効かなくなってしまった。 挙げ句、暴走。 つかさに罪を着せようとした。 あの日、つかさとこなたと男のやり取りを見ていた私は、チャンスだ、と思った。 つかさがこなたを刺す動機が出来たから。 ……でも、予想外の事が起こった。 男はつかさを追いかけていた。 結果、つかさにはアリバイが出来てしまった。 そして、このままでは、やがて犯人は突き止められるだろう。 こなたが秘密にしようがしまいが、結局は彼にバレてしまう。 ……嫌われるんだろうなあ。 ……友達を殺そうとして、好きな人には嫌われて。 ―――そんな未来に、私は絶望した。 「―――ごめんね、こなた」 そして私の『女』としての欲望からくる勢いみたいなものは消え去ってしまった。 「かがみん……」 後悔。自分がやってしまったことへの自覚が私を呑み込んでゆく。 「私、間違ってた。こんな卑怯な方法。私らしくない」 全く、こなたにツンデレだと言われてもしょうがない。 ……ホントに素直じゃない、私。 「じ、じゃあ……!」 「……ごめん」 ごめん。私はもう、未来への恐怖と罰に、耐えられない。 ……私はやっぱり手遅れだ。そう、自覚してしまった。 「え……?」 「―――サヨナラ」 そして未来に絶望した私は、服に潜ませていた、こなたを刺した小さな、 それでいて強靭なナイフを、たとえここ病院であっても即死する勢いと力を込めて、 自分の喉元に、降り下ろした。 ☆――― 「――――――――――――え?」 刺さらない。 思い切り、首を貫通する覚悟で降り下ろしたナイフが、私の肌を穿たない。 何故? 何故? 何故……? ボタタッ。 何の音だろう。 私にナイフは刺さっていない。 なら、私の血が流れる音じゃない。 ……ああ、じゃあ決まっているじゃないか。 ―――それは、泉こなたの鮮血だ。 お腹を深く抉られて、本来絶対安静の身体で、包帯と衣服を滲ませながら、垂れる血を気にせずに、私の手を、止めていた。 強く、握られた手。 まるでそれが、こなたの意志の強さだと、示すかのような――― 「…………こ、なた」 「…………ダメだよ、かがみん」 「え?」 「かがみんが死んだら、私、悲しいよ。嫌だよ……」 「こなた……」 ……こなたの顔は、普段からは考えられないほどに、恐怖に歪んでいた。 ……そういえば、こなたは母親を亡くしてるんだっけ。 「お願い……か、が……み…………ん」 ドサッ。 「―――あ」 こなたの身体が、白い床に落ちた。 「ああ」 腹部から滲む深紅の血が、白を赤に染めて―――っ、 「こなたぁ―――っ!!」 病院に、私の絶叫が、響き渡った。 NEXT→☆16【未来】
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じ‐さつ【自殺】 [名](スル)自分で自分の命を絶つこと。⇔他殺。 ◆◆◆ F-5の平野にて、天を仰いで嘆く男が一人。 (ああ!神よ!俺は本来ならば城と言っても過言ではない、素晴らしく美しい自室で死ぬ予定だったんだ! この殺し合いになど巻き込まれなければ、自分で自分の人生を華々しく終わらせているはずだったんだ! ああ……自殺……自殺……自殺……自殺! んああ!何という素晴らしい響きだろうか!自殺! 上から読んだらジサツ!下から読むとツサジ……何だツサジって!何だよおい!) 男の患者名は『自殺志願者』、文字通りの自殺志願者である。 ただ、彼の自殺願望は生への絶望から来るものではなく、ただ死にたいというわけではない、 彼は自分が最高の状態で死ぬことに魅力を感じているのだ。 そんな彼がこの様な殺し合いに参加させられた時、何を考えるのだろうか? (…………まぁ、色々喚いてもしょうがないよな。 とりあえず……どう動くかだが、どうせ死ぬのに他人を殺して回るっていうのは倫理観に反するし、 もし優勝して『精神科医』になったとしても仕事が忙しくて死ぬ暇が無くなりそうだ。 ……うん、決めた。俺の自殺を邪魔したこの殺し合いをぶち壊そう。 そして、あのむかつく笑みを浮かべた『精神科医』をぶち殺して最高にハイになった所で飛び降り自殺だ。 うん、そっちの方がいいかもしれないな。逆境からの復活!そして自殺! 案外、最初に予定していた自殺よりも良いシチュエーションかもしれないぞ! よし、行動方針は決まった!いっちょ死ぬために頑張ってみるか!) 当然、より良い自殺の方法である。 「さて、それじゃあ頑張ってみますかね。素晴らしき死のために!」 自らの決意をより強固にする為、彼は大声で叫んだ。 こうして何かが間違っている、彼の自殺への戦いは始まった。 【一日目/深夜/F-5】 【自殺志願者】 [状態]:健康 [装備]:無し [所持品]:基本支給品一式、不明支給品1~3 [思考・行動] 基本:自殺する為に、生き残ってこの殺し合いを終了させる。 1:首輪外したいな、自分の死ぬタイミングを勝手に決められるのは不快でしょうがない。 2:仲間が欲しいな、3人よれば文殊の知恵とも言うし。 3:あまり人は殺したくないな、殺すときは殺すけど。
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高3自殺、新たに2人逮捕 生徒ら「何の説明もない」 校内に再び衝撃=兵庫 2007/09/26, 大阪読売新聞 朝刊, 33ページ 3度目となる記者会見を開いた校長らは「迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪し、改めて聞き取り調査を始めたことを 明らかにしたが、生徒は「学校から何の説明もない」「(事件は)いつまで続くのか」などと不満や不安を漏らした。 この日正午ごろ、須磨署から「2人逮捕」の連絡を受けた同高は急きょ、1、2年生の授業を午前中で切り上げ、 下校するよう指示。模擬試験中だった3年生も午後3時ごろまでには、下校させた。 生徒指導部長が「今回、逮捕された少年のうち1人は学校の調査に対し、『僕は(金銭要求のメールを送った生徒の) 中に入っていない』と話していた。学校としても関与が薄いと思っていた」と調査の甘さを認めたうえで、再調査を 表明。亡くなった生徒が、逮捕された3人とは別の生徒から衣服などを売りつけられていたという情報があることも 明かし、「事実関係の確認のためにも、さらなる調査が必要だ」と強調した。 また、校長は、2人の逮捕を受けて生徒の遺族に謝罪の電話をしたことを明らかにし、「私たちが生徒のサインを察 知できなかった。申し訳ないという気持ちでいっぱい」と陳謝し、険しい表情を見せた。 こうした同高の対応に対し、3年生の1人(18)は「事件について学校は何の説明もしてくれないし、いつまで続 くのかも不安。自分がいじめられても、きっと学校は守ってくれないと思う」と不安げな表情。2年生の1人(17) は「何も聞かされないまま下校するように言われた。学校は秘密主義で、何の説明もしてくれない」と非難し、 1年生の男子生徒(16)は「学年が違うので、いじめがあったという実感はないけど、学校全体が落ち着かない」 と話した。 一方、県教育課は同日午前、校長と教頭を県庁に呼び、再調査の結果、一転していじめを認めた経緯などについて 聞き取った。同課は「いじめ予防や早期発見、早期対応のいずれも出来ていなかった」と指摘し、今回の事件をしっ かり検証し、再発防止策を確立するよう指示した。